妊娠中に急に血の気が引いて、倒れそうになったことはありませんか? それはもしかしたら、貧血ではなく迷走神経反射かもしれません。
私は妊娠中に、迷走神経反射を何度も起こしました。「これはしんどい」と思うほど重かったのは5回。そのうち4回は外出先でした。
倒れそうな時は、足を伸ばして横になり、頭を心臓と同じ高さにする。これが、健診で先生に教わった対処法です。座ったままや、テーブルに突っ伏すだけでは、なかなか良くなりませんでした。
この記事では、次のことを紹介します。
- 私に起きた症状
- 起きやすかった場面
- 外出先で起きた4回の体験
- 付き添う人にしてもらって助かったこと
妊婦の迷走神経反射とは?

私も、妊娠してから初めて「迷走神経反射」という言葉を知りました。同じように、この言葉を知らない妊婦さんも多いと思うので、先に簡単に説明します。
迷走神経は、体の内臓などの働きを調整している神経のひとつです。この神経が強くはたらくと、心拍数や血圧が下がり、脳に送られる血液が一時的に少なくなります。これが迷走神経反射です。
長く立っている・座っているとき、強い痛みや疲れ、ストレスなどがきっかけで起こり、血の気が引く、気分が悪い、冷や汗、めまいなどが数分続き、失神することもあります。また、排尿や排便など、決まった動作がきっかけになることもあると言われています。
妊婦の迷走神経反射|私に起きた症状

最初に起きたのは、妊娠初期、つわりのころでした。家のトイレに入っているときです。
急に耳が砂嵐のようにザーッと鳴りはじめました。視界がだんだん狭くなり、目に映るものの色がセピア色から白黒のように消えていきました。
「このままだと倒れる」と思い、急いでお尻をふいて、パンツだけ上げて廊下に出て横になりました。1分ほど横になっていると、元に戻りました。このときは、ただの貧血だと思っていました。
具合が悪くなるときは、急にではなく、じわじわ悪くなっていきます。「やばい、やばい」と思う時間があるのです。「頼む、具合悪くなるな」と思いながら、症状はどんどん重くなり、最後は起きていられなくなりました。
| 起きたこと | 私が感じたこと |
|---|---|
| 耳 | 砂嵐のようにザーッと鳴る、聞こえが悪くなる |
| 目 | 視界が狭くなり、映る色という色が、どんどんセピア色から白黒になっていく |
| 体 | 急に血の気が引く、座っていられなくなる(吐き気がこみ上げることもあった) |
| 気持ち | 毎回「吐くかもしれない」という恐怖があった(実際に吐いたことは一度もない) |
| 顔 | 一緒にいた友達に「顔が真っ白だった」と言われた |
| 横になったあと | 数分で元に戻ることが多かった |
健診で先生に聞いた原因|産後は一度も起きていない

貧血だと思っていた症状のことを、健診のときに先生に聞いてみました。症状を伝えると、先生は「うん、たぶん迷走神経反射だろうね」という感じでした。
先生の話では、妊娠中はお腹の赤ちゃんに血液が多く回るため、脳にめぐる血が足りなくなって起こることがある、とのことでした。治し方は、足を伸ばして横になり、頭を心臓と同じ高さにすること。薬で治すものではないそうです。
出産してからは一度も起きていないので、本当にお腹の赤ちゃんに血液がとられていたから起きていたんだなあ、と今は思います。
起きやすかった場面|寒い外から暖かい室内に入って座った時

5回をふり返ると、共通点がありました。寒い外から暖かい室内に入って、座ったときです。家で起きた1回目以外は、すべて外出先でした。
| 回 | 場所 | 起きたとき | 回復のしかた |
|---|---|---|---|
| 1回目 | 家のトイレ | トイレの最中 | 廊下で横になり1分ほど |
| 2回目 | 動物園 | 室内の観覧スペースに座った途端 | 座ったままでは体感3割ほど。人のいない休憩スペースで1時間ほど眠って回復 |
| 3回目 | スーパーのトイレ | 暖かい店内に入り、トイレの最中 | 店の外のベンチで2〜3分横になる |
| 4回目 | 旅行先の夕食バイキング | 食事の最中 | 部屋の布団で5分ほど横になる |
| 5回目 | パンケーキのお店 | 寒い外から入って座った途端 | 授乳室のソファで5分ほど横になる |
トイレで起きるときは、用を足し終わったあとが多かったです。細かく言うと、トイレで用を足して体温がうばわれたとき。おしっこやうんちを出した直後に起こる感じがしました。私の中では「座ると起こる」というのが、ほぼ確定でした。

なんで出先に限って起こるんだ……って、具合が悪くなりながらいつも思っていたよ。
倒れそうな時の対処法3つ

5回の体験から、私が実際にしていた対処法を3つ紹介します。
① とにかく横になれる場所へ行く
いちばん効いたのは、横になることでした。家なら廊下でも横になれます。でも外では、トイレや店の床に寝転がることはできません。なので、ベンチやソファなど、横になれる場所までゆっくり歩く必要がありました。
② 足を伸ばして、頭を心臓と同じ高さにする
先生に言われたとおり、足を伸ばして頭を心臓と同じ高さにします。座ったまま夫にひざまくらしてもらったときは、体感3割ほどしか良くなりませんでした。足を伸ばして横になれたときは、数分で元に戻りました。
お腹が大きくなってからは、あお向けに寝ると気分が悪くなることもあるので、楽な横になり方は健診で相談しておくと安心です。
③ 一人で無理なら、近くの人に伝える
旅行先で起きたときは、近くを通ったお店のスタッフに「具合が悪いんですけど、横になる場所はありますか」と伝えました。一人のときは、なかなか他人に声をかけられませんでした。それでも、伝えられる人がいるなら伝えたほうが、早く横になれます。
外出先で迷走神経反射が起きた4回の体験

動物園の室内で座った途端に(2回目)
つわりのピークを過ぎたころ、夫がリフレッシュにと動物園へ連れて行ってくれたことがありました。外は空気が冷たく、最初は「新鮮な空気で気持ちいいな」くらいに思っていました。そのあと室内の、座って動物を見られるスペースに入り、座った途端に起きました。
ほかのお客さんがたくさんいる中で、夫にひざまくらしてもらうのは、本当は気が進みませんでした。でも具合が悪くてしんどいし、ここで吐いたら本当にとんでもないことになります。吐くくらいなら……と、やむを得ずひざまくらしてもらいました。「吐いたらどうしよう」と、ものすごく怖かったです。夫があめを口に入れてくれました。私はそのあめの味に意識を向けるようにしました。
でも横になれていないので、体感3割ほどしか回復しません。夫が、人のいない室内の休憩スペースを見つけてくれて、そこでテーブルに突っ伏して眠りました。自分では時間の感覚がありませんでしたが、あとで聞くと1時間ほど寝ていたそうです。起きたらすっきりしていて、夫はその間に車いすを借りてきてくれていました。そのあとは、車いすで園内を回りました。
スーパーのトイレで一人のときに(3回目)
母と2人でスーパーに買い物に行ったときです。夫は車で待っていました。寒い外から暖かい店内に入り、トイレに行きました。用を足している最中に、ふと「具合悪くなったら怖いな」と思った途端、みるみる具合が悪くなりました。
母は近くにいません。トイレを使うほかのお客さんに「すみません、具合が悪いです」と声をかけようかとも思いましたが、できませんでした。トイレから出て、ゆっくりゆっくり歩き、車に戻って休もうとしました。その途中、店の出入り口の横にベンチがあったので、靴のまま横になりました。
出入りするお客さんが立ち止まって私を見ている雰囲気は感じましたが、気にしていられません。回復するのが最優先です。2〜3分横になって起き上がると、大丈夫になっていました。母と夫は私を探してくれていて、母からは「ずっとそばにいなくてごめんね」と言われました。
旅行先の夕食バイキングで(4回目)
友人と3人で温泉旅行に行ったときです。夕食のバイキングで普通に食べていたのに、突然耳の聞こえが悪くなり、ノイズのような音になっていきました。「やばいやばい、友達の前で」と思いました。
友達を不安にさせたくなくて、まず近くを通ったスタッフに声をかけました。でも、スタッフの方はうろたえてしまって、横になれる場所には案内してもらえませんでした。
助けてくれたのは友達でした。私の腕を取って「深呼吸して、ゆっくりゆっくりでいいからね」と声をかけ、部屋まで連れて行ってくれました。移動している最中は「吐いたらどうしよう」とものすごく怖かったです。でも友達が「ゆっくり深呼吸続けて、息止めないで」とずっと声をかけてくれて、本当に助かりました。部屋の布団に横になると、5分ほどで良くなりました。
あとで、もう一人の友達に「顔が真っ白になっていたから、やばいなと思った」と言われました。自分の顔は見えないので、頭に血が回っていないときは顔色もすごく悪くなるんだと知りました。
パンケーキのお店で(5回目)
夫と、どうしても一緒に食べたかったパンケーキのお店に行きました。このときも、寒い外から暖かい店内に入って座った途端に起きました。
お店は混んでいて、人が大勢いました。案内された席はテーブルが低く、突っ伏すこともできません。夫が水を飲ませてくれましたが、良くなりません。「これは横にならないと治らない」と思いましたが、人の目がある中で、その場で横になる勇気は出ませんでした。
トイレまでの30〜40メートルを、とにかく気を確かに持って、一歩一歩ゆっくり歩きました。その途中に授乳室があり、「ここだ」と入りました。並んでいたソファに足を伸ばして寝かせてもらうと、5分ほどで良くなりました。
つわり中に夫にしてもらって助かったことは、こちらにまとめています。

外出先のトイレで起きた時の動き方

5回のうち3回は、トイレで起きました。外出先のトイレは、家のトイレとはまったくわけが違います。個室とはいえ、知らない人がトイレに入ってくる音が聞こえる。その状況が、具合の悪い身には本当に参りました。
しかも、座っているので下半身は出たままです。横にならないと良くならないのに、土足で入るトイレの床に寝ることはできません。私がしていたのは、次のことです。
- とにかくトイレットペーパーでふいて、なんとか服を整えて、なんとか流す(手を洗う余裕はなかった)
- ゆっくりゆっくり歩いて、トイレの外へ出る
- 横になれる場所まで、気を強く持って歩く
大事なのは、起こる前の準備です。出かけた先では、まずトイレや授乳室の場所を確認しておきます。トイレで起きたときのために、ソファやベンチ、授乳室など、横になれるところを見つけておくと安心です。
付き添う家族・友達ができること

一緒にいた夫や友達、母にしてもらって助かったことをまとめます。妊婦さんと一緒に出かけるときの参考にしてください。
- 横になれる場所を探す:夫は人のいない休憩スペースを見つけ、車いすを借りてきてくれた
- 腕を取って、ゆっくり歩かせる:友達は「ゆっくりゆっくりでいいからね」と部屋まで連れて行ってくれた。歩いている間も、ずっと声をかけ続けてくれた
- 深呼吸を続けさせる:具合が悪いことに意識が向きすぎて、呼吸がおろそかになっていたと思う。「深呼吸、深呼吸」と言われて、深呼吸しなきゃと意識できた。よく聞くセリフだけど、深呼吸はすごく大事なんだと思った
- あめなど、気をそらせるものをくれる:夫が口に入れてくれたあめの味で、少しごまかせた
- できるだけそばにいる:母と離れていたスーパーでは、他人に助けを求められず、一人で何とかするしかなかった
迷走神経反射の予防にしていたこと

家ならどこでも横になれますが、外ではそうはいきません。そこで私は、2つのことを決めていました。
- なるべく一人で出かけない
- 出かける先に、横になれる場所があるかを先に調べる(授乳室やベビー休憩室など)
「もしこうなったら、ここへ行こう」「ここに電話すればいい」とわかっているだけで、心のお守りのように安心できました。
妊娠中のお出かけで気をつけていたことや持ち物は、こちらの記事にまとめています。

病院に相談する目安

私は、健診のときに先生に相談して、おそらく迷走神経反射だろうと言われました。健診で聞くまでは、貧血だと思っていました。
迷走神経反射そのものは命にかかわるものではないとされていますが、失神をくり返す場合は、心臓の病気や不整脈など、ほかの病気が原因のこともあります。急に気分が悪くなる、立ちくらみが続く、倒れてしまったなどのときは、健診を待たずに産婦人科に電話で相談してください。
妊婦の迷走神経反射でよくある質問

妊婦の迷走神経反射はいつまで続く?
私の場合は、妊娠初期のつわりのころから起きはじめ、出産の直前まで続きました。出産してからは一度も起きていません。続く期間は人によって違うので、気になるときは健診で医師に相談してください。
迷走神経反射が起きやすいのはどんなとき?
私は、寒い外から暖かい室内に入って座ったときと、トイレで用を足したあとに起きやすかったです。重い症状が出た5回のうち、4回は外出先でした。
迷走神経反射と貧血はどう違う?
私も最初は貧血だと思っていましたが、健診で医師に聞くと、おそらく迷走神経反射だろうと言われました。自分で判断せず、症状や状況を医師に伝えて確認するのが安心です。
迷走神経反射は薬で治る?
私は健診で、薬で治すものではなく、足を伸ばして横になり、頭を心臓と同じ高さにするのが治し方だと説明されました。
外出先のトイレで起きたらどうする?
私は服を整えてトイレを出て、ゆっくり歩いてベンチやソファを探し、足を伸ばして横になりました。近くに人がいれば、具合が悪いことを伝えてください。
まとめ:倒れそうな時は、横になれる場所へ

妊娠中の迷走神経反射は、私にとって出産の直前まで付き合った症状でした。重かった5回のうち4回は外出先。寒い外から暖かい室内に入って座ったときや、トイレのあとに起きやすかったです。
倒れそうな時は、足を伸ばして横になり、頭を心臓と同じ高さにする。外では、横になれる場所を先に調べておく。この2つを決めておくだけで、安心の度合いが違います。妊娠中に外出するときは、ぜひ出かける先の横になれる場所を調べておいてください。
つわりのころの体調の変化は、こちらの記事にまとめています。

急に目の前が暗くなると、本当にこわいですよね。無理をせず、まずは横になれる場所を確保して、自分の体を守ってくださいね。

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